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池辺和弘(いけべ・かずひろ) 1981年、九州電力に入社。取締役常務執行役員などを経て、2018年6月から代表取締役社長執行役員。20年3月~24年3月には東京、中部、関西の3電力会社以外で初めて電気事業連合会の会長を務めた。

インタビュー連載「電ゲン論」

 「脱炭素社会」の実現が叫ばれるいま、あらためて「電気」をどうつくるべきなのかが問われています。原発の賛否をはじめ、議論は百出しています。各界の著名人にインタビューし、さまざまな立場から語ってもらいました。

<原発新増設の支援策>

 政府は原子力発電所の新増設を進めるため、建設費を電気料金に上乗せできるようにする制度を検討している。英国で考案された原発支援策「RABモデル」を参考にしており、原発の建設開始から建設費や維持費などを電気小売事業者が負担する仕組み。建設費の上ぶれ分も認められれば料金に含むことができる。

 以前は発電所の建設費などの費用を電気料金に織り込む「総括原価方式」があった。だが電力自由化の進展で、電力会社は採算性が悪い発電所を廃止し、新たな投資にも慎重な姿勢をとっている。

「資金調達つかないのが一番恐ろしい」

 岸田文雄前政権は、原子力発電を「最大限活用」するとし、従来の姿勢を転換した。さらに、政府は新増設の支援策も検討している。大手電力は原発の必要性を主張する一方、これまで建設へ向けた具体的な動きはみられない。九州電力の池辺和弘社長も新増設に前向きな姿勢を示しつつも、実際の投資には原発をより収益が上がる事業にしなければならないと言う。その理由と具体策を聞いた。

 ――政府が改定の議論を進めている「エネルギー基本計画」では、原発の位置づけが重要な論点です。どうすべきだと考えますか。

 「将来、電力需要が伸びると…

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